親子関係の悩み

“過干渉な親”とは何ですか?勉強との関係は?


“過干渉な親”とは何ですか?勉強との関係は?

やったね!

【 “過干渉な親”と勉強の関係 】

 “過干渉”は、母親の子どもに対する接し方として、最近よく使われる言葉です。 いわゆる、「よくないこと」として紹介されています。

自分が“過干渉”な親になっていないか『アナタは大丈夫ですか?』というチェックシートも、ネットでしばしば見かけます。
http://moomii.jp/kosodate/excessivecare-check.html(マーミー ステキなママになる子育てメソッドより)

 塾の教室管理者として多数の親子に関わる立場上、「勉強」という観点から「過干渉な親とはなにか」という事を考えてみたいと思います。

【 “過干渉な親”って? 】

 過干渉な親とは、どんな親のことでしょうか。
実はそれは、なかなか深刻な話題であり、本来は気軽に口にするようなものではないのです。
ちょっと口うるさい程度なら、「かまい過ぎ」と表現する方が適切でしょう。

では、本当の“過干渉な親”とは?

『子が望まず、親だけが望むことを子どもに強いること』です。
こう聞くと、そんなに、特別な事ではないような気がするかも知れません。

また、“過保護な親”という言葉もありますが、過干渉と過保護は、どう違うのでしょうか。

“過干渉”を正しく理解する為に、次に過干渉と過保護の違いについて、ご紹介します。

【 過干渉 と 過保護 の違い 】

 過干渉と過保護の違いとは、主導権の偏りの違いです。すなわち、

過干渉 → 「親が主導権を握り過ぎ」
過保護 → 「子が主導権を握り過ぎ」

 と、表現することが出来ます。

実際問題としては、過保護な親というのは減っているようです。
過保護は言い換えると、子の意向を尊重する行為です。将来、主張の強い(ワガママな)性格 になる可能性もありますが、「自分に自信があって、エネルギッシュな人間に成長する」とも言えます。『過保護は、いいことだ』と、言い切る子育て専門家もいるほどです。

 では、過干渉は、どうでしょう。

過保護が、子の意向を尊重する行為であるのに対し、
過干渉は、子の意向を無視する行為です。

【 親が過干渉だと、子どもにどんな影響がありますか? 】

 過干渉な親の行動パターンは、例えば、以下のようなものです。

  •  ①子が遊ぶ友達を、親が選ぶ。
  •  ②「○○しなさい。」といった、命令口調で話す。
  •  ③子どもの価値観の存在が認められない。
  •  ④親の思い通りになると褒美を与え、うまくいかなければ罰を与える。

 文字通り、『親が望むことを、子に強いる』です。
 このような親の関わりは、子どもに、どんな影響を及ぼすでしょうか。

①子が遊ぶ友達を、親が選ぶ。

積極的に友人関係を築けない  友達作りは、ある意味最も「自分自身のフィーリングを基準とした行為」です。
それを親にコントロールされると、自分のフィーリングをもとに他者と接する方法が わからないままになり、他者とどう接していいかがわからなくなります。

② 「○○しなさい。」といった、命令口調で話す。

自分で物事を決められない    常に命令口調で話されていると、子は自分で何かを決める経験をしないまま成長します。
過干渉な親は、特に“重要な選択”において、子の意見を無視する傾向にあります。
よって  子は人生における重要な各局面において、親の判断なしには決断が出来なくなります。

③子どもの価値観の存在を認めない。

チャレンジしない  「自己肯定感(自分はOKな存在だ、という感覚)」が強い人ほどチャレンジ精神が旺盛です。過干渉な親は、自分の価値観を押し付け、子の価値観に寄り添おうとしません。
“子には子の価値観がある”という考え自体、持たないからです。子は、 “自分の価値観を尊重されない→自己肯定感が持てない→チャレンジしない”という傾向を持ちます。

④親の思い通りになると褒美を与え、うまくいかなければ罰を与える。

親の顔色をうかがう  親が求めることをしたときにだけ、褒められたりご褒美があると、自然と子は親の顔色を  うかがうようになります。
自分で何をすべきか、何をしたいか、ではなく、親だけが正解を 持っている、と考えるのです。その結果、どんな取り組みをしても、どんな結果が出ても、 自分の意思で取り組んでいないので、心の底からの達成感は得られなかったりします。

【 子どもは本当に勉強がキライなのか 】

 ゲームをする子ども話が前後しましたが、過干渉な親と、子どもの勉強の関係について考察します。

まず、この問題は非常に複雑です。

過干渉とは、『子が望まず、親だけが望むことを、子に強いること』です。
では、そもそも、勉強は『子が望まないこと』なのでしょうか?
…答えは「一概に言えない」です。

“いや!ウチの子に限っては、勉強が本当にキライなはず…!”
というお母さんも、おられるかも知れません。むしろ、そういうお母さんの方が多いです。
ですが私は多くの中学生と接してきた経験上、「一概に言えない」と断言できます。

その根拠をお伝えする為に、『スモールステップ』という概念についてお話します。

【 現代っ子は、スモールステップしか登らない?! 】

 『スモールステップ』とは、ちょっと頑張れば達成出来そうな目標設定のことです。
 発達障害の子に対してのアプローチ、新入社員教育などの現場などで用いられます。

 下の図を見てください。

スモールステップと普通のステップ到達点

  どちらの階段(ステップ)も、到達点は同じです。
  違うのは、一段の負荷です。
私の感覚ですが、現代っ子はどんどん、スモールステップでないと動けなくなって しまっているように思います。

【スモールステップの例:“数学の点数を上げるには?”】

 スモールステップと普通のステップ

  スモールステップの具体例をご紹介します。
  テーマは、“数学の点数を上げるには?”です。

  上記右図の普通のステップにおいて、1、2、3の3段の階段があります。
これらをそれぞれ、

  1. 計算ミスを無くす
  2. 問題集を終わらせる
  3. わからない所を先生に質問する

だと、仮定します。(よく、中学生のお子さんを持つお母さん達が仰る内容です。)

 ですが、これらのステップの前段階には、半(0.5)ステップが、存在するのです。
※厳密には、スモールステップは無数に存在します。
半(0.5)ステップは、あくまでイメージしやすくする為の表現です。

 上記左図のスモールステップは、0.5ずつ上がる6段の階段です。
スモールステップとしては、例えば、

  •  0.5:途中式を書く癖を身に付ける
  •  1.5:わかる問題だけを解く
  •  2.5:問題集を何度も反復する

 といった内容になります。

 つまり、スモールステップを含めて、全てを段階的に示すと、こうなります。

スモールステップと普通のステップ(例)

  0.5や1.5のステップの指示があるのか、ないのか。
この違いは、子どもによっては、非常に大きな違いを生みます。

  例えば『1.5 わかる問題だけを解く』があることで、わからない問題の克服と、わかる問題の反復を、キッチリと住み分けすることが出来ます。
ただ、それを自動的に脳内で行うスキルがある子であれば、1から2に、一段とばしで登ることは可能なわけです。

 親世代と、子世代で、1ステップの高さが違う。

…これが、過干渉と、子どもの勉強の関係を複雑にしているのです。

【 過干渉と、子どもとの勉強の関係 】

 過干渉と、子どもの勉強の関係は、複雑であると述べました。
また、それは現代っ子が『スモールステップ』しか登らないことが一因だと説明しました。

親の課題・子の課題

 ①じっくり … 良い関係です。一歩ずつですが、ステップアップが見込めます。
 ②のびのび … 良い関係です。逆に、子どもは伸びしろを残しているかも?
 過干渉リスク … 過干渉のリスクがあります。
 ④塾いらず? … 良い関係です。普通に指示をする親と、それをこなす子。

このように仮定すると過干渉のリスクを持つのは4つのうち1つのパターンのみです。
が、まさに今、このパターンに陥っている親子関係が、増えていると感じます。

【 勉強=『子が望まないこと』と決めつけるな 】

過干渉とは『子が望まず、親だけが望むことを、子に強いること』です。

 ですがここで大切なのは、勉強の指示をした時に子どもが拒否反応を示したからと言って、 その子が勉強自体を望んでいないと決めつけてはいけないということです。

 冷静に、 “指示が、その子に合っていないだけ”と、親子関係を客観視すべきです。
これをお読みのお母さん・お父さん、お子さんが“勉強ぎらい”だと決めつけていませんか?

もし、お子さんが『スモールステップでしか動けない子』だとしたら、普通に勉強の指示をしてしまうとそれは“過干渉”(子が望まない指示を強いる行為)となってしまうのです。

子どもは勉強自体を嫌がっているのではなく、自分の身の丈に合っていない指示(スモールステップではない指示)を、嫌がっているだけなのです。

【 勉強における過干渉の“特殊性” 】

先述しましたが、過干渉な親の行動パターンは、ネットにたくさん挙げられています。

・子が遊ぶ友達を、親が選ぶ。
・「○○しなさい。」といった、命令口調で話す。
・子どもの価値観の存在が認められない。
・親の思い通りになると褒美を与え、うまくいかなければ罰を与える。

  上記の内容は “おそらく、すべての子どもにとって嬉しくないであろう”というある基準に則ったものです。

ただ、こと勉強においては、そういった基準を設定するのは不可能なのです。 その理由は、子どもによってその基準が、本当に大きく異なるからです。
これが、勉強における過干渉の“特殊性”です。

例えば、子どもが英単語を覚えない時、どうすべきか。

A. 覚えるように強く言う。
B. 覚えなければペナルティを課す。
C. 覚える時間と環境を設定する。
D. 覚え方のアドバイスを口頭でする。
E. 覚え方の指示を手取り足取りする。

子どもの状況によって、上記のどれが最も合った指示なのかは、変わるのです。

親子関係・本人の能力によってはAだけで解決します。一番ラクですね。
子どもの性格や、これまでの成功例があるならBも有効です。
子どもの「極度の面倒くさがり」が原因なら、Cがベストかも知れない。
覚え方の効率が悪いことに悩んでいるのなら、Dが必要でしょう。
全く覚え方がわかっていないのなら、Eしか道はありません。

逆に、覚え方は知っているのに、DやEは“過干渉”です。
また、覚え方を知らないのにAやB、これも“過干渉”です。

『子が望まず、親だけが望むことを、子に強いること』が過干渉です。

同じ指示をしても、ハードルが高すぎると感じるか、はたまた低すぎると感じるか、それによって、“過干渉”かどうかが決まるのです。

【 まとめ 】

 「勉強」という観点から「過干渉な親とはなにか」を考えました。

勉強という分野は、現状の能力・これまでの学習習慣・思考の癖・性格の偏り、様々な要素が複雑に絡みます。なので、誰にでも有効なアプローチというものが、杓子定規には決められません。

だから同じ指示をしても、子どもによって適切だったり、過干渉だったりしてしまう。
 更に、子どもが思春期だったりすると、問題は更に複雑になってしまいます。

親子関係だと、精神的にも物理的にも近い存在の為、なかなか客観的に自分の子どもの「現状」を把握することは難しいかも知れません。

仲良し親子様々な状況の子どもに対するノウハウを豊富に持ち、より適切な指示(時にはスモールステップ)を提供出来るということが、私達のような「学習塾」の、最大の存在意義ではないかと思います。

その為には、生徒一人ひとりの「現状」を、「ありのまま」把握し、適切な「ステップ」を提供することが大切だと思っています。

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